<一筆>公務員から経営者に転身(新聞連載コラム#01)
<熊本日日新聞 | 2023年1月10日>
皆さま初めまして。私が社長を務める株式会社ヒサノは、1935(昭和10)年に鉄道小荷物の荷扱い所として創業し、昭和30~40年代の高度成長期にはピアノ輸送で大きく業績を伸ばしました。現在は業務の軸足を半導体製造装置や理化学機器といった精密機器の輸送・搬入・設置に移し、大規模な事務所移転や企業の定期異動に伴う引っ越しなども手がけています。
私は、地方分権の推進に奔走した細川護熙知事に憧れ、地方自治に携わりたいとの思いから大学院修了後に熊本県庁に入りました。4年間の外務省への出向を含め、13年間にわたって公務員として働きました。2001年のIT不況の際、妻の実家であるヒサノが経営難に陥ったため、04年3月末に県庁を退職してヒサノに入社、経営再建に挑むことになりました。
入社後も、08年9月のリーマン・ブラザーズ破綻を発端とした金融危機、11年3月の東日本大震災、16年4月の熊本地震などの苦難に直面しました。現在も、コロナ禍での売り上げ伸び悩みや、ロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー価格高騰など悩みは尽きませんが、社員とともに異業種への進出にもチャレンジしながら、経営危機を何とか乗り越えてきました。
今回、このような貴重な機会を頂いたので、経営者として経験したさまざまな喜びや苦悩を皆さまと共有できればうれしく思います。熊本県庁や外務省時代の思い出話、中小企業の経営者が直面している経営課題や解決策についての考察も盛り込む予定です。しばらくの間お付き合いください。
本記事は、2023年1月~3月にかけて熊本県の地方紙「熊本日日新聞」に連載された弊社社長のコラムをアーカイブとして掲載しております。