<一筆>半導体製造装置の輸送(新聞連載コラム#02)
<熊本日日新聞 | 2023年1月17日>
ヒサノは国内の大手物流会社の協力企業として、全国に立地する半導体工場への半導体製造装置の輸送・搬入・設置を手がけています。戦略物資としての重要性が増し、台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出でも注目される半導体ですが、その生産には半導体製造装置が欠かせません。
半導体の製造工程には、ウエハー上に回路を形成する「前工程」と、ウエハーからチップを1枚ずつ切り出して完成品を作る「後工程」があります。ウエハー上に回路を小さく作り込んで集積度を高める微細化や、複数のチップを積み重ねて性能を高める積層化といった技術が進み、数百にも上る工程数はさらに増加傾向にあります。
このため、製造装置の種類もどんどん多様化、高額化しています。半導体製造装置は高価で重たい上、衝撃や振動、ほこりや温度変化に影響を受けやすい繊細な機器。注意深く慎重な輸送や荷役作業が要求されます。
当社の社員は半導体製造装置の輸送・搬入・設置に関する高度な技術を持ち、多種多様な装置を取り扱っています。荷役を省力化するための昇降機や空調機器を装備した専用トラック、空気圧を利用して重量物をほんの少しだけ浮かせて運ぶエアキャスターといった専用機材も使いこなします。
半導体製造装置の輸送や荷役作業の技術を習得するには数年かかる上、専用の大型トラックや荷役機材をそろえるために数億円もの投資が必要。こうしたことから、運送業の中でも参入障壁の高い分野の一つだと言えるのです。
本記事は、2023年1月~3月にかけて熊本県の地方紙「熊本日日新聞」に連載された弊社社長のコラムをアーカイブとして掲載しております。