<一筆>倉庫業への参入(新聞連載コラム#03)
<熊本日日新聞 | 2023年1月24日>
ヒサノは半導体製造装置などの精密機器の輸送から搬入・設置までのサービスをワンストップで提供し、好評を得ています。その一方で、商品を保管するための営業倉庫を保有しておらず、満足のいく保管サービスをお客さまに提供できない状態が続いていました。
私は、福岡都市圏の輸送需要拡大や台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出に伴う半導体製造装置の保管需要も見込み、2021年3月に新たに倉庫業に進出することを決断しました。約10億円を投資して、福岡県古賀市に精密機器に特化した営業倉庫を建設。22年6月から営業を開始しました。
その際に活用したのが、国の「事業再構築補助金」です。コロナ禍で新分野への展開や業態転換に挑戦する中小企業を支援するために、21年3月に公募が始まりました。事業計画書の策定には苦労しましたが、倉庫業に参入して一貫物流サービスを提供するという当社の計画は無事採択されました。補助金を利用して、倉庫運営に必要な物流機器を導入できたので非常に助かりました。
コロナ禍で中小企業の経営環境は大きく変わりました。環境の変化は経営者にとってピンチでもありチャンスでもあります。店員と直接接触せずに買い物をしたいという消費者のニーズを捉えた企業は、補助金を利用して電子商取引(EC)や自動販売機による商品販売にいち早く着手しました。われわれ経営者には、環境の変化や新たなニーズを的確に捉えて新規事業を素早く立ち上げるスピード感が求められています。
本記事は、2023年1月~3月にかけて熊本県の地方紙「熊本日日新聞」に連載された弊社社長のコラムをアーカイブとして掲載しております。