<一筆>変化への対応(新聞連載コラム#07)
<熊本日日新聞 | 2023年2月21日>
2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻を発端とした金融危機、11年3月の東日本大震災、16年4月の熊本地震、19年末以降の新型コロナウイルス感染症の世界的流行、22年2月からのロシアのウクライナ侵攻-。私がヒサノに入社した後も、中小企業の経営に深刻な影響を与える危機が頻繁に起きています。経営環境が混沌[こんとん]とする中、業績を維持することすら容易ではありません。
中小企業の経営者は、このように将来が見通しにくい状況において、さまざまな経営課題を同時に解決する必要があります。私も顧客に対し運賃の引き上げを依頼する一方で、慢性的な人手不足を解消するために採用ホームページを立ち上げたり、倉庫業に新たに進出したりするなどの対応に追われています。中小企業の経営者には、刻々と変化する経営環境に適切に対応できる資質が必要不可欠。資質の欠如は経営破綻に直結します。
京都大の若林直樹教授の論文によると、経営に深刻な状況を与える危機が起きたときに重要なのは、企業が組織として適応し業績を回復する能力です。このような「組織レジリエンス」を持つ企業の経営者の特徴は、学び直しの能力(学習能力)が高く、積極的な経営意欲を持ち、結果が不確実でも事業機会を追求するような能動的な行動を取ることだそうです。
東日本大震災後も、有能な経営者が率いる企業はしっかりと稼いで逆境を抜け出したようです。私も、企業経営について学び直したいと思うようになりました。
本記事は、2023年1月~3月にかけて熊本県の地方紙「熊本日日新聞」に連載された弊社社長のコラムをアーカイブとして掲載しております。