＜一筆＞人材確保の処方箋（新聞連載コラム#12：最終回）

＜熊本日日新聞 | 2023年3月28日＞

　台湾積体電路製造（TSMC）の菊陽町進出を契機に、熊本県内で半導体産業に従事する人材育成の動きが進んでいます。熊本大は2022年度、大学院先端科学研究部に「半導体研究教育センター」を設置し、24年度には半導体人材などを育成する学部相当の「情報融合学環」を創設する予定です。県立技術短期大学校も、24年度に半導体技術を専攻する新たな学科を開設するとしています。

　熊本がシリコンアイランドの中心地として再興するためには、半導体人材の育成は必要不可欠です。TSMCの工場建設発表からわずか1年余りで、産官学が連携して素早く半導体人材の育成体制を整えたことは称賛に値すると思います。

　一方、半導体製造装置の輸送や搬入・設置を通して半導体のサプライチェーン（供給網）に携わる運送会社は長年、恒常的な人材不足に悩まされています。当社は運送事業者の職場環境改善の取り組みを評価する「働きやすい職場認証制度」の認証を取得していますが、人材確保には苦労しています。

　半導体のサプライチェーンを維持していくには、外国人材の活用は避けて通れないと考えています。例えば、大阪府は家事・育児などの負担を抱える人が「働きたくても働けない」状況を改善するため、国家戦略特区制度を利用して、外国人材による家事支援サービスの提供を目的とした「家事支援外国人受入事業」に取り組んでいます。

　今後、熊本でも戦略特区の規制改革を利用した外国人材の確保に関する議論が深まることを期待しています。

本記事は、2023年1月～3月にかけて熊本県の地方紙「熊本日日新聞」に連載された弊社社長のコラムをアーカイブとして掲載しております。